存在共命
木の陰で静かに本を読む姿に目が行った・・・
新しい年度になり、寒かった日々から花々が目を覚まし
色とりどりの花が咲き乱れ、大きな制服に身を包んだ下級生が
緊張を面持ちで始めて訪れる校舎に入り、1ヶ月
咲き乱れ、独特な美しさ出していた桜は花を散らし若葉を出す頃には
新入生達も学校の雰囲気にも慣れ、それぞれが学校での楽しみを見つけ
満喫しだしている頃、
強豪と言われているテニス部にも見学者が増え
一層の賑わいを見せていた。
個性が強いメンバーが集まっている中に
更に個性が強い人物が入ったのにも歓声が増えている訳で
そうなると、眉間に皺を寄せ怒る人物も出てくる。
「まぁまぁ、そんな顔してると元に戻らなくなるよ」
只でさえ手塚の顔は怖くて1年生が怖がっているのに
また、面白そうにからかいだす人物もいた。
「不二か・・」
隠す事無く出される怒りの雰囲気に
クスクス笑いながら答えていると、ドコからとも無く高い声が上がった。
「元気だよね」
耳に付く声に感想を言うと、聞き手に回っていた手塚の眉間に皺が増えたが
笑いながら視線を外し、周りを見渡す
ツインテールの女の子に長い髪をみつあみに結ってる1年生の2人が見えた。
小坂田さんと竜崎さん
元気に手を挙げルーキーである越前に声援を送る、小坂田さん
その横で、テニスを見ている竜崎さん
そしてもう1人、テニスコートから離れた場所に生えている木の下で
読書をしている少女
いつも、仲良く3人でこの場所に来ていた。
周りを囲む女生徒達とは違い、木の下で座り読書をしている姿は
珍しく、部員達にも話題に上ったが
「テニスには興味が無いそうで・・・・」
申し訳無さそうに答える小坂田さんと
その様子を心配そうに見ている竜崎さんに何故と思った事に答えを貰い
皆が苦笑し、友達の付き合いと言う答えで終わり興味が収まった頃
「その本は面白い?」
短い休憩時間の時に話しかけた。
ゆっくりと顔を上げると、不思議そうに見られ、暫くすると
「はい・・」
と、ありふれた答えが返ってきた。
「どんな話なの?」
「日本神話の話です」
話を広げる為、問いかけるが簡潔に言葉を返されてしまい
少しでも間を空けると本に視線が行ってしまいそうにる雰囲気を払うように
「歴史が好きなの?」
再び問いかけると
「はい」
簡潔ながらも、頷くという動作がついた。
「そう、どんな話が書かれているのかなぁ?」
「スサノオの話です」
「ヤマタノオロチと草薙の剣だね」
「はい」
先ほどと変わらない簡潔な言葉と頷きに
笑顔のまま言葉を作り、会話をしているとコート内から
休憩終了の声が掛かると少女から視線を外しコ−ト内を見ながら
「もう、終わりか・・・・」
小さなため息と共に言葉を零すと
「頑張って下さい」
返事と問いかけ以外の言葉が聞こえ
慌てて少女に視線を戻すと、少女は不二の表情を見ていた。
「ありがとう」
微笑み礼を言い終わると、コート内に戻り練習を再開する中
少女を見ると、先程同様読書をしていた。
初めて少女と会話した。
時々、来ない日もあるが
それ以外は、木の下で本を読んでいる少女に休憩になると不二は話しかけた。
「 です」
「ちゃん。
僕は不二 周助 」
初めて話しかけて、何度目かに互いに自己紹介をした。
きっかけは話している中で名前を呼ばなければならなくなったから。
少女の名前を知らなければ、
少女も不二の名前を知らなかった。
少し湿った風が吹く中の自己紹介はある意味新鮮だった。
「不二先輩は疲れませんか?」
自己紹介して3度目の時の会話の時の言葉に
「疲れてはないけど・・・
どうしたの?」
の横に座り、木に背を預けながら言葉を返す
「この本の主人公が不二先輩に似ているんです」
しおりが挟まれ完全に閉じられいる本に視線を向けているが
ゆっくりと視線を上げ、誰も居ないコートを視界に入れると
「辛い事があっても、泣きたい事があっても笑っているんです」
を見ていた不二はコートから不二へと視線を移したと
目が合い
「感情を隠して笑い続けるて、疲れないのかなぁ。
そう、私は思ったんです」
ゆっくりと紡がれる言葉とまっすぐな視線を受ける。
何度も話しをしてきて、開かれたまま手に持たれていた本が
自己紹介をし合った頃ぐらいから、しおりが挟まれ膝の上に置かれる様になった。
それでも、
すぐのでも書かれている物語を読みたいという雰囲気は消える事が無く、
立て続けに質問などをして感じる雰囲気を払い続ける
が、今は微塵も感じられなかった。
そんな雰囲気の中、
言われた言葉に驚き、息をするのも忘れてしまう。
息苦しさを感じると、呼吸と共に止まっていた意識も動き出し
紡がれた言葉の意味が解ると、の手首を握り、
勢い良く引っ張り立たせ走り出した。
外から屋内へと入り、階段を上り重く感じるドアを開け
再び外へと出ると、目の前には色濃くなり始めた青空が見え
風を肌に感じ、無意識だった行動に気が付き
振り返りを見ると、肩を上下に揺らし、
乱れた息を元に戻そうと辛そうに呼吸をしている姿に
自分が全速力で走ってきた事を感じ取り、苦笑しながら
「ごめんね。
大丈夫・・・じゃないよね」
誤りを入れると
「い、え・・・
いきなり、だったのでビックリしま・・した」
乱れた息の中、返事を返され
無意識に取ってしまった自分の行動に再び苦笑していると
「何か?」
首をかしげながら、苦笑する不二を見ながら
腰を下ろすと、の手首を掴んでいた不二も
引かれる様にの横に腰を下ろした。
次第に収まっていく呼吸の音を聞きながら、
時折吹く風を感じ、視界に入ってくる空の青と雲の白を見ていると
も同じ様に視線を上げ空を見上げると、
重力に引っ張られる様に、体を床に預けると空を見つめ
「私、空が好きなんです。
横になって、こうやって空を見上げて、雲を見たり
目を瞑って太陽の光を受けたり・・・
不二先輩も如何ですか?」
顔動かし、空を背景に不二の姿を視界に入れ
気持ち良さそうに微笑みながら誘うと、
から視線を外し同様に横になり空を見つめる。
お互い口を開く事はなく
ずっと空を見、雲の流れを見て、時折吹く風に心地よさを感じ
グラウンドから聞こえてくる、声や音を聞きながら
ゆっくりと時を過す。
どれだけ2人で空を見ていたのか、
色濃かった空が少し変化を見せ始めだした頃
「ちゃん
さっきの質問だけどね」
いつの間にか、掴んでいた手首を離されており
掌に暖かさを感じると同時に名前を呼ばれるが
視線は空から話す事無く
返事をすることはも無く、次に紡がれる言葉を待つ
そんなを目だけ動かし一瞬視界に入れるが
すぐさま空に戻すと
「正直、疲れる事もあるよ」
空に向けられた声が聞こえた。
の問いの答えが返ったにも、
先ほどと変わらず無言のまま空に視線を向けたままでいると
次々に言葉が生まれ空へと吸い込まれ、風に流れて行った。
不二が話していても、相槌をうつ事もなく
空を見ている
そんなの態度にかまう事無く喋り続ける
グラウンドから聞こえてくる音が不二の声に変わり
段々オレンジ色へと変化し夕焼けの色へとなると
話続けていた不二の声が止まり、
握られていた手に力が入るのを感じると
の視線が空から離れ、横に居る不二の顔に代わると
視線が合い、
「僕の話ばかり聞かせてゴメンね。
ヒマだったでしょう」
微笑んだ表情を見せる不二に
「いえ」
空を見ていたのと変わらない表情のまま返すと
「もっと話をしたいんだけど、
そろそろ戻らないとダメだね・・」
から視線を外し、
変化を見せる空を見ると太陽は沈み
オレンジから藍色へと変化を見せ
終わりを告げる空へと変わる空へため息を付き
横になっていた体を起し、立ち上がり
繋がれた手には引っ張られる様に起き上がり
立ち上がる手助けをされ立ち上がると
ゆっくりと歩き出し下へと降りていった。
行きとは違い、ゆっくりとしたスピードで進み
手首ではなく手を繋いで歩いて行く
太陽が沈みきったのか、先程まで光があった校舎内は
暗く、横に歩いている人物がうっすらと見える中
無言で歩くにも、心地よさを覚える沈黙を感じるが
校舎を出て、コートに向かうと
不二をを見つけた手塚が腕を組んで立っていた。
見るものを圧倒する雰囲気を出し、見王立ちで立っている手塚に
怖さを感じたのかが握られていた手を強く握ると
「そんなに眉間に皺を寄せていると戻らなくなるよ」
微笑をしながら揶揄を言葉にすると
手塚の眉間に皺が増え、
「不二」
怒りを込めた声で名を呼ぶ
「解っているよ。
何週走ってくればいい?」
変わらぬ態度で返事を返す
「20週だ」
告げられる回数に、
「解った」
返すと
繋がれていた手を離し
「ちょっと行ってくるね」
を見下ろし、
手を離された事で行走りにくの解ったが
不二を見上げ言葉に頷くと
グランドへと歩いていった。
残されたは目の前に立ち
不二の姿を見ていた手塚に
「私も走った方が良いでしょうか?」
質問すると、手塚の視線はを見るが
「何故だ?」
反対に返される
「不二先輩が取った行動の原因は私の言葉ですので
私も走った方が良いのではないかと」
「だが、君はテニス部では無い」
「そうですが・・・」
間髪入れず返ってくる言葉に、
歯切れを悪く言葉を返すと沈黙が広がり
雰囲気が重く感じ始めると
「だから、その表情を直した方が良いよ
て、僕は言ったのに」
少し乱れた息をし、汗を掻いているにも
余裕を伺わせ沈黙が広がる手塚との間に入り
声をかける。
「早かったな」
「まぁね」
重くなった雰囲気は無くなるものの
手塚と不二の会話に居心地の悪さを感じ
「あの、私これで失礼します」
挨拶を交わすと、礼をし
読書をしていた木に立てかけていたカバンを手に取ると
「ちゃん、またね」
不二の声に振り返り
「はい」
いつもと変わらない返事を返し
再び礼をすると、コートから離れ家路についた。
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手慣らしに書いてみたテニプリの夢小説が不二でした・・・・
『ほのぼの』ではなく『シリアス』でもない夢小説・・・
感想ありましたら書き込みしてやって下さい。
好評ならば続き書きます。
2004 1 30